富士フィルムマニュファクチャリング×ハイオス
FUJIFILM
富士フイルムマニュファクチャリング海老名事業所
複合機・プリンターのリーディングカンパニーである富士フイルムビジネスイノベーション。その生産機能を担う富士フイルムマニュファクチャリングの国内4工場のうち、商業印刷向けプリンターの最終商品を組み立てているのが海老名事業所だ。IPWに基づく生産革新活動を積極化することで、高技能型生産を実現。ここで培われたノウハウを生産プラットフォームとして標準化している。なかでも海老名事業所が扱う商業印刷領域の大型商品は、一般のオフィスで使われるプリンターと異なり、顧客のビジネスに直結する生産財であるため、厳格な品質管理のもとで高次元のモノづくりを進めている。
《会社概要》富士フイルムマニュファクチャリング株式会社 海老名事業所
●株主:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社100%出資
●住所:神奈川県海老名市本郷2274
●事業内容:海老名事業所=商業印刷市場向け高速プリンターの最終組立

1日10万本のねじ締め現場に革新 デジタルドライバー「熟練工」が支える高品質モノづくり

プロダクションプリンタ Revoria Press PC1120
1日のねじ締め本数は10万超。高速、高機能の商業印刷向けプリンターを生産する富士フイルムマニュファクチャリング海老名事業所にとって、ねじ締め作業はすべての工程に組み込まれているモノづくりの基本である。ねじ1本の欠損や緩みが製品不良を招くこともあるため、締結に関する厳格な管理体制が不可欠となっている。富士フイルムビジネスイノベーション流生産方式(IPW:Innovative Production Way)に基づく生産革新活動を展開してきた海老名事業所が、一段の品質向上と高効率を狙って導入したのがハイオスのスクリューカウンター・パルスシステム内蔵のデジタルドライバー「熟練工BLG-BC2」。モノづくり現場の抜本改革を呼び込んだ。

不具合の撲滅と作業者の負担軽減を両立させるモノづくり

海老名事業所の生産方式は、いわゆる〝1個流し〟。機種や仕向地の異なる機種を1本のラインに混流させ、作業者が自工程の組み付け作業を完了させたのち、1台ずつ次工程へ流していくやり方だ。スタートは骨組みだけの姿が、ラインを流れるのに従ってサブラインで作られたユニットやモジュールが取り付けられていき、最後は完成品に生まれ変わる。各工程とサブラインに配置された作業員は、ムダのない動きで組み付け作業をこなしているが、古田敏宏製造部長は、「安全と品質が第一。作業の標準化や欠品、異品を防止する取り組みなど様々な活動を展開しているが、安全確保と作業者の負担軽減は最優先課題。それはまた品質向上だけでなく、生産性向上にもつながる」と解説する。不具合の撲滅と作業者の負担軽減を両立させるモノづくりが肝心というわけだ。
そんな海老名事業所のIPWに基づく生産革新活動では、ねじ締め作業領域も重要な改善対象となる。「ねじ締めに多くの時間を費やしている」(古田製造部長)からだ。女性スタッフも少なくなく、一日に何百回と繰り返すねじ締め作業で、かつては腱鞘炎を患うケースもあったことから、電動ドライバーの採用は避けられない状況が生まれつつあった。そして今から約3年前、本体重量425グラムと他社製に比べ圧倒的に軽量な「熟練工ドライバー」に白羽の矢を立てた。スリムで場所を取らず、女性の手にも収まりやすいよう人間工学に基づき計算された径を持つグリップも魅力だった。

人に頼らない締結本数保証を確立

最大の決め手となったのは、ねじ締め本数をカウントしてくれる、スクリューカウンター機能や、ねじ締めエラーを高精度に検知する合否判定機能、さらに締め付けデータを外部出力できる新機能にあった。製造技術グループを統括する山田芳彦氏は、「実を言うと以前は、工程ごとに必要なねじ本数を数える人がいて、それを各工程に配る人がいた。いわば非効率な人海戦術による員数管理が行われていた」と打ち明ける。「熟練工ドライバー」の導入により、機種ごとに必要な締結本数をドライバーに入力させることが可能になり、「管理工数の削減だけでなく、人に頼らない締結本数保証の確立につながった。ねじ浮きや、斜め締めなどの不良も検知できる品質向上メリットもある」(山田氏)と言う。
作業者の負担を軽減し、安定したねじ締め品質を確立できるのが「熟練工」。例えば、ねじ締め不良で発生するロス。破棄するのは、ねじ自体にとどまらない。製品部材の破損、ひいては製品自体のロスにつながることもある。つまり「熟練工ドライバー」は、環境に優しい社会に貢献できるツールでもある。ブラシレスモーターの採用による省エネ効果やカーボンの排出がないメリットもあり、「デジタルドライバー」を軸にしたハイオスのねじ締結システムは、2022年に優れた環境配慮が組み込まれた製品、サービスを表彰する「エコプロアワード」の奨励賞を受賞している。
一方、外部から設定を変更できる点も大きい」と語るのは、現場改善に向けた治具や器具選定に携わる製造技術グループの酒井克聡氏。「熟練工」はそれを支える豊富な周辺機器がラインアップされているのも魅力。オプションの「BLG-IF2」との連携で、ねじ締め本数や回転パルス数などを最大4パターン保持でき 、外部からパターン設定を切り替えるなど、生産革新に役立つ機能が用意されている。特に仕向地によって締結本数や回転パルス数が異なる機種が混在する海老名のラインでは、「ドライバー本体で切り替える手間が省けるため、作業者やライン監督者の負担軽減につながる」(酒井氏)と言う。まさに「熟練工ドライバー」は、モノづくり現場の抜本改革を呼び込んだと言えるだろう。

両社タッグでさらなる生産革新へ

現在、海老名事業所では合計230本の「熟練工ドライバー」が活躍。ねじ締め作業の大半が「熟練工」によって実行されている。ブラシレスモーターの採用で「長寿命化が図られ故障頻度も少なくなった」ほか、軽量・コンパクトのため、今のところねじ締め作業での腱鞘炎の発生はない。さらにドライバー自体が作業者に変わってねじが正しく締まったかどうかを判定するので、作業者は「意識することなく」自然と正しい締結作業を習熟できることから、「新人教育もしやすくなった」とか。ハイオスの顧客対応力も見逃せない。例えば作業者が移動しながらねじ締め作業する際のドライバーの電源コードが足に引っかかるリスクを回避するため、特注で軽量カールコードを提供するなど、柔軟な顧客対応を見せているが、IPWの生産革新活動を展開する海老名事業所の要求レベルは高い。「当社商品はお客様のビジネスを支える生産財であり、品質に問題が生じればお客様の生産活動に直結してしまう」(古田部長)からだ。
さらなる品質向上を目指す海老名事業所。多様な個社ニーズに応えようとするハイオス。今後も両社タッグでさらなる生産革新の取り組みが展開されることになりそうだ。