カーボンニュートラル実現に向けて

ユーザー訪問企画vol.3 三菱電機×ハイオス

三菱電機三田製作所のキャッチフレーズは「人とクルマの未来を創造する」。
安心・安全が絶対条件の自動車分野が主な取引先だ。品質向上、デジタル変革(DX)、環境負荷低減などの観点からハイオスの「トツプラねじ」「インタトルク」やブラシレス電動ドライバー「熟練工」BLG-BC2を採用する同製作所を取材した。
MITSUBISHI ELECTRIC
三田製作所

人とクルマの未来を創造する

兵庫県三田市は豊かな自然と田園風景を残す大阪・神戸のベッドタウン。日本最古の温泉郷「有馬温泉」がほど近くにあるのどかな地から、自動車業界向けに最先端の〝キーパーツ〟を国内外に供給しているのが三菱電機三田製作所だ。自動車分野ならではの厳しい品質管理が求められる生産現場で、ハイオスのねじ締結システムが活躍している。

品質管理と環境負荷低減に貢献

三菱電機株式会社 三田製作所 工作部 部長 綿貫晴夫 氏
ものづくりにおける環境配慮も大きなテーマの一つだ
三田製作所では電気自動車(EV)の普及などで100年に一度の変革が進む自動車業界向けにキーパーツを供給する役割を担う。生産するのは主に「カーマルチメディアシステム」「車載高級オーディオ」「カーメカトロニクス」「ライティングシステム・ソナー」の4分野。近年は「新事業として病院向け搬送ロボット「MELDY (メルディ)」を活用した院内サービス展開に取り組んでいます」(総務部総務課の福田修平チームリーダー)。〝コトづくり〟の一環として2023年度から販売を開始し、より多くの病院の課題に貢献していきたい考えだ。取引先の自動車業界は「脱炭素化」に大きく舵を切る中で、同業界をユーザーとする三田製作所も「環境への取り組みに対してユーザーからの要望が強い」(製造管理部環境・施設管理課の川上昭二チームリーダー)。このため従来より太陽光発電や電化、省エネを実施してきたが、三菱電機のグループ戦略に基づき、更なる活動推進を行うことでカーボンニュートラルの早期実現と、脱炭素化の大きな流れに「しっかり取り組んでいく」(同)という。そんな〝人とクルマの未来〟を見据える三田製作所が採用したのがハイオスのブラシレス電動ドライバー「熟練工」や「インタトルク」、「トツプラねじ」。確実な締結が可能なねじや電動ドライバー不良検知システムやデータ出力機能を活用し、厳しい品質管理が要求される自動車分野でロス低減につなげている。環境負荷低減の取り組みは企業活動のあらゆる場所に及ぶがねじ締めも例外ではない。ハイオスのブラシレス電動ドライバーはブラシ付きに比べて使用限界や細かな発塵がない。ブラシ付きドライバーの発熱なども「エネルギーを使っている。発熱のないブラシレスのほうが省エネルギーメリットがある」(工作部の綿貫晴夫部長)という。

ねじの取り損じ3割減で生産ロス改善

ハイオスのねじ締結システムが採用されている生産ライン
ねじを取り、運んで、回し、締める。一連のねじ締めのプロセスは簡単なように見えて奥が深い。綿貫工作部長は「ねじを取る作業は特に注意する」と話す。ねじを取り損じて落下した場合などは必ず回収しなければならず、ラインを停止する事もあるからだ。同社ではねじ締めの品質向上のためハイオスの「トツプラねじ」「インタトルク」を使用している。カーナビゲーションシステムの締め付けに使用するねじは、十字ねじの欠点であるビットの浮き上がりを改善したトツプラねじだ。従来の十字ねじは、ビット先端部がテーパー状で締結時にビットが浮き上がる為、上からの推力を必要とする。同時にビットが摩耗。一方トツプラねじは、ビット先端部がストレート形状で浮き上がりを防止。ビットが摩耗しにくい。直進性に優れ、締め付け過程でふらつきが無い。ビットの耐久性も抜群。ビットとねじの嵌合性が高いため、ねじを取るところから締結まで安定した作業が可能。現場の作業者からもミスが少ないと高評価で、実際に「導入前に比べてねじの取り損じが3割減少した」(綿貫部長)と、大きな効果を挙げている。また、従来のヘクサロビュラねじはガタが生じてねじ締めに支障を来す場合があった。三田製作所では2年ほど前に設計部門からの推奨でインタトルクを採用、現在では同じく自動車関連のキーパーツを生産・供給するタイの「三菱電機タイ・オートパーツ」でも採用。現地の従業員からも好評だ。トツプラねじ、インタトルクは締め直しや破損によるワークの廃棄、エネルギー消費の低減を実現。取り外しが容易なため、リサイクルにも貢献する。

ツールが現場のDXを支援

“三田仕様”のブラシレス電動ドライバー「熟練工」
「品質を作り込む作業をツール、道具で管理する仕組みを作り上げていきたい」。綿貫工作部長はそう話す。従来はねじ締めにおけるミスや作業のやりやすさ、やりにくさを人が検知してきた。品質への要求が高まり、日進月歩で新たな技術が導入される中、〝本当にねじは締まっているのか〟というテーマを突き詰めると、人への依存には限界がある。例えば「ねじを締める時にわずかながらゴミが発生することがある。これにどう対処していくか」(綿貫工作部長)。さまざまなテーマのうちの一つだ。「安心・安全」が絶対条件の自動車市場は、品質への要求度も極めて高い。一方、製品によっては、ラインの柔軟性を維持するため単なる自動化では対応できない。人が使うツールという〝エッヂ〟は、さまざまなデータを収集して作業を管理・支援するコンピューティングを担う。同製作所ではハイオスのねじ締結システム導入、データ収集に利用。ミスの検知や商品のトレーサビリティ、生産管理などに活用している。「ツールを通じた管理の要求は今後も厳しくなっていくだろう」(綿貫部長)としており、タイ生産拠点などにも同様の手法を展開していく構えだ。同製作所ではブラシレス電動ドライバー「熟練工」を使用。エラー検知システム、データ出力機能などを活用している。同製作所の熟練工は、モーターの回転パルス数のサンプリング精度を通常製品より高くした仕様。「〝三田仕様〟の熟練工を提供しています」(ハイオス営業本部の矢野康徳西日本統括部長)というこだわりを見せる。「ベストのものを使っている」(綿貫工作部長)。同製作所の高品質化への挑戦を、ハイオス製品が支えている。